くらし
2018/06/18

今なお色あせない魅力を誇る伝統工芸「箱根寄木細工」とは?

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
神奈川県の箱根山系は、京都の嵐山、鳥取の大山と並んで、樹木の種類が豊富なことで知られています。箱根の地では古くから多くの木工芸品がつくられており、その生産は記録によれば戦国時代にまで遡ります。今回は、箱根の木工芸品の中でも特に有名な「箱根寄木細工」について紹介します。

日本唯一の寄木細工の産地

「箱根寄木細工」とは、名前のとおり多種多様な木を寄せ合わせてつくる伝統工芸品です。多様な樹木が生える箱根山だからこそ、カラフルな木材を用いて、独特の幾何学模様の木工芸品がつくられました。新年の風物詩・箱根駅伝の往路優勝校に贈られるトロフィーも、この「箱根寄木細工」でつくられているので、一度は目にされた方も多いかもしれません。また、「箱根寄木細工」は、仕掛けをとかないと開かない「秘密箱」(別名「からくり箱」)、花器、コースターなどにも施されています。

もともと寄木細工は、17世紀に静岡浅間神社を建立した宮大工たちによって考案されたといわれています。そのおよそ200年後の江戸時代後期、箱根町畑宿に住む石川仁兵衛(1790?1850年)が、静岡から寄木細工の技術を持ち帰って、色鮮やかな木材で「箱根寄木細工」をつくったとされています。

「箱根寄木細工」は、湯治土産として人気を博し、海外からの評判も非常に高いものでした。かのシーボルトもその美しさを讃えてオランダに持ち帰ったり、幕末の横浜開港後には「箱根寄木細工」は輸出もされ、1904年の米セントルイス万国博覧会にも出品されています。1984年には「通商産業大臣指定伝統的工芸品」に認定され、現在では箱根・小田原地方が唯一の寄木細工の産地となっています。

多様な色彩と模様のバリエーション

「箱根寄木細工」の特徴として、鮮やかな木の色が挙げられます。ミズキ(白)やコクタン(黒)、ウルシ(黄)、ハリエンジュ(緑)、ケヤキ(茶色)、ウォルナット(褐色)など、さまざまな色彩の木材が用いられているのです。また、「箱根寄木細工」では一般的に天然の木の色を使いますが、近年では、顔料とともに木材を煮て、自然にはない灰色や紫色の木を創りだす手法も確立されています。

木片を組み合わせてできる基本の模様は市松、麻の葉、亀甲など60種類ほどですが、組み合わせ方によっては無限に近いバリエーションができます。これらの伝統的な模様はあくまで直線的なものでしたが、現在では、斜めに寄木を切ると楕円の模様が浮かぶなど、曲線の表現方法も発明されています。

職人さんによって配色や模様にそれぞれ個性があり、ひとつとして同じ作品がないという点も、「箱根寄木細工」の大きな魅力と言えます。

>>(次ページ)体験できる箱根寄木細工
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