くらし
2019/08/28

湖底は世界の「ものさし」だった!7万年分の湖底堆積物を見に福井の水月湖へGO

(写真=年縞博物館)
(写真=年縞博物館)
湖や沼の底に溜まる縞模様の堆積物を「年縞(ねんこう)」と呼びます。春から秋にかけてはプランクトンの死骸などが、秋から冬にかけては黄砂や鉄分といったように、季節によって異なる物質が交互に堆積していくことで、きれいな縞模様を作ります。世界一の長さの年縞を作った福井の水月湖に行って、人類の歴史をのぞいてみましょう。

年縞とは

年縞とは、季節によって異なる堆積物が重なることで形成される縞模様のことです。木の年輪にも似ています。明るい縞と暗い縞の1対が1年分の堆積物で、それぞれの縞にはその年にあった気候変動や自然災害の跡が残されています。

年縞は、縞の数を数えるだけでどの年代の堆積物なのか分かるのも特徴です。年縞の上から3枚目の縞は3年前、1,000枚目の縞は1,000年前にできたものというように、縞のおおよその年代を特定できます。

年縞を解析すると、その縞が作られた当時の自然環境や、地震、津波、洪水、火山活動などのデータが得られます。

水月湖にある年縞は世界のものさし

(写真=年縞博物館)
(写真=年縞博物館)
2006年に水月湖のボーリング調査が行われ、73メートルの堆積物を発掘したところ、約45メートルまではっきりとした年縞が見られました。これはおおよそ7万年分にあたります。約45メートル分もの途切れのない年縞は、世界でも大変珍しいものです。

年縞が途切れている45メートルから64メートルの部分は泥土堆積物でした。これは、この年代の水月湖の水深が浅かったことが原因と考えられています。64メートルから73メートルまでは再び年縞が現れ、最深部の年縞は約15万年前のものと推定されています。

このように、水月湖の地底には地球のこれまでの歩みが刻まれているのです。水月湖の年縞は「世界標準のものさし」と呼ばれ、地質学や考古学の世界で広く活用されています。

なぜ水月湖で世界一の年縞が作られていったのか

水月湖の湖底に明瞭な年縞が作り続けられていったのは、年縞が作られる好条件がそろっていたからにほかなりません。

水月湖は大きな水流を生む河川とのつながりがなく、山々に囲まれ風から守られています。さらに湖底には生物がおらず、周辺の断層の影響で上流からの土砂などで湖が埋まることなく沈み続けているのも特徴です。これらの条件によって、土石の流入がなく湖水がかき混ぜられないことから、堆積物がゆっくりと沈殿することができたのです。

災害予測にも活用できるかもしれない年縞

年縞をよく見ると、ところどころ堆積物が厚い部分や色の異なる部分が見られます。これは噴火や洪水、地震があったことを示しています。特に厚い層がある部分は、地震によって大量の土砂が流入した痕跡です。水月湖の年縞を調べたところ、地震によってできた厚い層が3万年の間に12ヵ所発見されました。このデータをもとに、地震予測をできる日が来るかもしれません。

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