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2019/03/22

きしめん離れで小麦生産量が拡大!?愛知の新たな農業展開

きぬあかりという小麦について

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
国内では、さまざまな品種の小麦が栽培されています。生産された小麦の28%は麺用の小麦粉となり、さらにそのうちの32%が、いわゆる日本麺であるうどん・きしめん用に使用されます。しかし、うどん・きしめん用小麦の自給率は60%程度で、残りは輸入に頼らざるを得ない状況が続いていました。

地産地消にスポットが当てられ、地元で栽培され作られた小麦粉「地粉」への注目も高まる中で、愛知では独自のきしめん文化を守るためにも、きしめん作りに適した小麦品種の開発を進めてきました。

きしめんに適した小麦として生まれたきぬあかりには、3つの特徴があります。コシのもととなるグルテンを生み出す、グルテニン遺伝子を4つも有していること。日本麺に適したアミロースを適度に含んでいること。さらに灰分が低く、麺が明るい色になるというものです。

うどんやきしめんのために作られたこの小麦は、2018年にコンビニ弁当にも採用されました。愛知の小麦の全国的な知名度はまだそれほど高くありませんが、きぬあかりを含む愛知全体の小麦生産量は、2016年には2万3,700トンに達しています。これは全国4位に当たる数字です。

これまで、愛知の学校給食用のうどんときしめんは、県産小麦に北海道産小麦をブレンドしたものを使用してきました。きぬあかりの登場によって、今後は県産小麦のみの麺を提供できるようになるといいます。

小麦は、穂に実が付いた後、風や雨によって倒れやすくなります。倒れてしまうと収量が激減してしまいます。湿害に強く、草丈が短く太いきぬあかりは、倒れにくくて育てやすい、さらに収量も多いという、農家にうれしい品種でもあるのです。

気候や風土に合った農作物を生産して消費拡大を狙う

愛知の農業総合試験場では、県内での栽培に適した小麦の品種を作るために、2000年から品種改良に取り組み、その結果きぬあかりの開発に成功しました。

日本の年間平均気温は30年前と比べても高くなっています。温度が違えば、農作物の栽培環境にも影響が出てきます。果物や米の栽培適地が北上していることからも分かる通り、時代にあった品種改良を行わなければ、どのような農作物でも、現在の収量を10年後まで維持ができない可能性があります。

これからは、その土地の気候と風土に合った品種を、その時代の気候に合わせて作ることで、生産を拡大していくことができるようになるでしょう。さらにそれを地域で消費することで、消費の拡大も望めます。愛知のきぬあかりを中心とした小麦への取り組みは、今後の農業において、必要な努力のあり方を示した好例といえるのではないでしょうか。


このコラムは2019年2月時点の情報をもとに制作したものであり、現時点において最新の情報ではない場合がありますので、あらかじめご了承ください。
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