グルメ
2018/10/17

キーワードは「こだわり×革新」鹿児島の焼酎蔵が成長を続ける理由

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
芋と水にこだわり、蔵人が丹精込めてつくる芋焼酎「さつま大海」。その蔵元は、鹿児島県大隅半島にある「大海酒造」です。1975年に協同組合として誕生して以来、手づくりにこだわった焼酎をつくり続けています。

長い歴史を持つ焼酎蔵ではないものの、その知名度と人気は昔からの焼酎蔵に引けを取りません。その秘密は大海酒造独自の戦略にあるようです。

大海酒造の特徴

大海酒造の酒蔵は大隅半島の鹿屋市にあります。この地の契約農家が作ったサツマイモだけを使い、職人の手でつくられている大海酒造の芋焼酎。水は、地下800メートルから湧き出る温泉水「寿鶴」を使用。そのため大量生産ができず、入手が困難になってしまうこともあります。銘柄ごとに使用するサツマイモとこうじの種類を変えるというこだわりぶりも人気の秘密です。この焼酎蔵でつくられる芋焼酎は、大量生産が可能な蔵とは一線を画しています。

こだわりと革新の酒づくり

本格焼酎ブームによって数多くの焼酎蔵が、急激な増産に向かいました。それに合わせ、芋焼酎独特の香りを苦手とする層へのアプローチのため、個性を排した焼酎づくりへと傾いた蔵もあります。そのような中でも大海酒造は増産せず、品質を落とさないようこれまでと変わらない丁寧な焼酎づくりを貫いてきました。

本格焼酎ブームが落ちつくと、芋の香りと味の豊さを活かした焼酎が少なくなり、誰でも飲める安価な芋焼酎が多く販売されるようになっていました。現在でもその傾向は変わらず、市場は大手が強く、生産量が限られるうえに、激化する価格競争によって価格を上げることもできない中小の蔵元にとっては苦しい状況となっています。

このような状況下で、大海酒造は次々と新しい商品をつくり出し、映画や漫画とのタイアップ商品なども販売。2014年には「宇宙県・鹿児島」をアピールするため漫画「宇宙兄弟」をモチーフとした焼酎を種子島の上妻酒造と共同開発。2015年には戦後70年を記念して、大隅半島が舞台となっている映画「永遠の0」の名を冠した焼酎「永遠のゼロ」を数量限定で販売し話題となりました。

大海酒造は本格焼酎ブームが訪れる前から、既存客だけでなく新たな消費者を取り込む努力も続けてきました。今でこそ焼酎は女性にも人気がありますが、以前は男性が飲むお酒というイメージでした。それを払拭したのが、2006年に発売された「薔薇の贈り物」です。

鹿屋市にある「かのやばら園」で育てられたダマスク系のバラ「ロサ・ダマッセナ」とサツマイモの品種であるベニオトメからつくられた焼酎からは、バラの上品な香りが漂います。さらに、この焼酎は2012年に世界デビューも果たしており、「薔薇の贈り物14」は菱沼直樹パリ・オートクチュールコレクションのパーティに提供されて、大海酒造と焼酎の名を世界のファッション界へも知らしめました。

焼酎に新しいものをかけ合わせ、付加価値をつけて新たなターゲットへと販路を拡大していく。これが大海酒造の戦略です。

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