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2018/10/09

甘味がぎゅっと!日本初の干潟養殖カキ「ひがた美人」誕生

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
日本三大干潟の一つと呼ばれる大分の中津干潟。そこで生産されている養殖カキが「ひがた美人」です。海外では盛んなカキの干潟養殖を日本で初めて導入し、2014年の本格生産以来、大分を代表する水産物のブランド化に成功しました。

干潟で養殖されたカキは、引き潮で殻を強く閉じるという貝の性質のおかげで貝柱が大きく成長するため甘味がたっぷり。身の中には亜鉛やビタミンなど豊富な栄養素が含まれています。

ここでは、本格生産から4年が経ち、海外へも販路拡大をしている大分の干潟養殖カキの人気とその理由をご紹介します。

干潟養殖はロープではなくカゴで成功

国内の多くのカキの養殖では、筏(いかだ)からロープを海中に垂らしてカキを成育させる垂下式が用いられています。しかし、干潟が広がる中津の海は季節風が強く、筏を利用するのは困難でした。

そこで、大分では中津干潟に適したオーストラリア方式に挑戦。沖合に支柱を設置してワイヤーを渡し、養殖カゴを吊り下げていくこの手法は、海外では主流の養殖技術です。満潮時には、養殖カゴの中のカキは潮に程よく揉まれ、海中のえさを十分に食べることができます。潮が引く時にはカキが空気にさらされることで、付着物が少なく身の引き締まった甘みの強いカキに育ちます。中津のカキは、一般に流通している養殖カキより小さめながらも、身に弾力があり、濃厚な甘味を持っているのが特徴です。

干潟漁業の不振を逆手に取った大分県漁協中津支店

中津干潟はかつて全国有数のアサリやバカガイの漁場でした。しかし、自然環境の変化や漁業者の高齢化によって漁獲量が激減し、中津の干潟漁業は危機的な状態に陥りました。そこで着目したのがカキの養殖です。生食用のカキの需要が高まっているのを知った大分県漁協中津支店では、当時、日本では例がなかったカキの干潟養殖の方法を、オーストラリアから試験的に導入しました。

中津のブランドカキである「ひがた美人」は、稚貝の段階から養殖カゴに入れることでカキが一粒ずつバラバラのまま育った「シングルシードオイスター」となります。日本では「一粒カキ」と呼ばれるものです。潮が満ちれば海水に浸かり、潮が引くと空気にさらされる。この繰り返しが健康的で旨味のあるカキを作り出します。また、季節や成長に応じて養殖カゴの水深や向きを調節するなど、細かな心配りによって深さのある形状の殻を育てています。

試験養殖から4年で24万個へ

2012年に始めたオーストラリア方式による試験養殖に成功した大分県漁協中津支店では、1年目に1万個、2年目に1万6,000個を生産する実績を上げました。本格的な養殖に乗り出した2014年には約13万5,000個を生産。首都圏を中心に約7万個を販売するまでになっています。2017年には約24万個を見込むまで成長した中津干潟の養殖カキは、年間生産目標を100万個に据えて養殖技術の改良と、さらなるブランド化に注力しています。

豪雨災害を乗り越えて

2017年7月に発生した九州北部豪雨によって、川の上流から流木や土砂が押し寄せ、養殖場に深刻な被害をもたらしました。この時、被災した養殖場とともに沖合で養殖されていたカキもダメージを受けましたが、「ひがた美人」の関係者は、すぐに復旧作業を開始。漁業者の努力が功を奏し、同年12月までに復旧を終え、カキのシーズンの出荷に間に合わせることができました。

そして、豪雨によって土の養分をたっぷり含んだ土砂が川から干潟へ流れ込んだことで、カキのえさとなるプランクトンが干潟に多く発生し、大粒のカキに成育するという思わぬ置き土産がありました。

>>(次ページ)カキ小屋で甘みを堪能しよう
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