グルメ
2018/01/10

青森の郷土料理「氷頭なます」からヒントを得た美容液

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
東北地方及び北海道で親しまれている「氷頭なます(ひずなます)」は、生鮭の鼻先を切り取り、塩漬けしたのち酢でしめた、日本酒とよく合うお正月定番の郷土料理です。

地元民には冬限定の楽しみでもある氷頭なます。その原料となるサケの鼻軟骨には美容成分である「プロテオグリカン」が高濃度で存在することが、1990年青森県産業技術センター等の研究によりわかりました。

高いポテンシャルを持ち、医療分野にも活用できる可能性を持つプロテオグリカンについて、青森にて産学官金が連携し行っている研究や、これまでの取り組みについて紹介します。

プロテオグリカンとは


近年注目の美容・健康成分であるプロテオグリカンとは、体内のヒアルロン酸やコラーゲンの間に存在し、中央にタンパク質、その周囲にいくつもの糖鎖をもつ「糖タンパク」のことを言います。

プロテオグリカンの持つ糖鎖には水分保持機能があり、人はこれによって皮膚や関節周辺の柔軟性を保っています。コラーゲンやヒアルロン酸と同じく、プロテオグリカンはアンチエイジングに欠かせません。

しかし近年まで、プロテオグリカンは1グラム3,000万円という驚きの価格で取引され、「夢の成分」とされていました。それは牛の鼻軟骨由来のプロテオグリカンが、有害成分を用いなければ抽出できなかったためです。

そんなプロテオグリカンを身近なものに変えたのが、鮭の鼻軟骨から抽出した「あおもりプロテオグリカン」でした。現在では、このプロテオグリカンを利用した美容液やサプリメントを弘前大学と化粧品会社、健康食品メーカーが共同開発し販売しています。

高濃度のプロテオグリカンは「氷頭なます」をヒントに抽出


しかしプロテオグリカンを商品化するまでには多大な努力が必要でした。プロテオグリカンは熱に弱く、発見はできたもののうまく抽出することができなかったのです。

加熱せずに抽出しなければ、その効果を最大限発揮できないプロテオグリカンをどうやって抽出するのか。鮭の鼻軟骨にあるプロテオグリカンに可能性を感じた「株式会社角広」と「弘前大学」は、1998年よりプロテオグリカンを抽出する研究を開始します。

もし鮭の鼻軟骨から安全にプロテオグリカンを抽出することができれば、人の未来も大きく変わるはず。さまざまな試作を行いながら、弘前大学は一つの仮説にたどり着きます。そのヒントとなったのが「氷頭なます」でした。郷土料理「氷頭なます」は、酢を使うことで固いはずの鼻軟骨をやわらかくしています。これは軟骨成分が酢の作用によって溶け出しているからではないか、と考えたのです。

ここから、固い鮭の鼻軟骨をやわらかくするのは酢酸であると仮定した弘前大学が、2000年、とうとう人体に害のない酢酸とアルコールのみでプロテオグリカンを抽出することに成功しました。

安全かつ低コストで生まれたサケの鼻軟骨由来のプロテオグリカンによって、青森はここからさらに大きく動き出します。

「あおもりプロテオグリカン」で地域イノベーション


2011年には「青森ライフイノベーション戦略」を県が発表、青森のプロテオグリカン研究はスピードを上げていきます。

さらに、文部科学省の「地域イノベーション戦略支援事業」に採択され、現在では産・学・官・研・金と多くの団体を巻き込みながら、バイオマテリアルによる生体利用も視野に入れ、医療分野応用のための研究を行っています。青森では県民の健康が課題となっており、この研究にも大きな期待が寄せられます。

また、「青森県プロテオグリカン産業クラスタープロジェクト」により、研究だけではなく産業振興も同時に行い、津軽圏において多くの企業が参画し産業クラスターを形成・拡大していく予定です。

これからはプロテオグリカンを最大限活用すべく、アンチエイジングだけではなくメタボリックシンドロームへの応用、機能性食品の開発を行いながら、青森全体の新規ビジネス・雇用創出を行っていきます。

北国の家庭料理だった「氷頭なます」からヒントを得た「あおもりプロテオグリカン」で、県を再興することができるのか、青森の挑戦はこれからも続いていきます。
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