グルメ
2017/09/29

愛媛名物「ポンジュース」の味が進化し続ける理由

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

「愛媛の家庭にはポンジュースの出る蛇口がある」。そんな都市伝説が広まったのを受けて、過去、松山空港に噂をそのまま実現化した蛇口が登場しました。

いまや全国的に、愛媛といえば「みかん」と並んで、「ポンジュース」というイメージ戦略が成功しています。ただ、現在のポンジュースがブラジル産のオレンジ果汁と国産の温州みかんで作られていることはあまり知られていません。時代と共に味を変えてきた愛媛のポンジュースの秘密に迫ります。

愛媛県民に愛されるポンジュース 地元でも有名だった「酸っぱさ」

愛媛県民にとってポンジュースは、子どもの頃から慣れ親しんでいる身近な存在です。小中学校の給食では「ポンジュースごはん」が出されたこともありました。

スーパーに行けばポンジュースを箱買いする姿も珍しくありません。親戚や知り合いの家を訪ねると、よく冷えたポンジュースを出されるのは愛媛の夏の常識です。

世代を超えて親しまれているポンジュースの「変わらないまじめさ」が受けていたといえるでしょう。

実は、ポンジュースの味そのものは、時代によって少しずつ変化しています。

昭和時代のポンジュースはとにかく酸っぱさが際立つ味でした。みかんの酸味が強く、体がシャキッとするほどで、温州みかんを搾ったそのままの味わいでした。濃厚でとろりとした口当たりに酸味の効いた味は、昭和をたくましく生きた人々に広く受け入れられていたのです。

ポンジュースの味は時代に合わせて変化

もともと温州みかんは酸味が強く、そのままジュースにすると酸っぱさが際立つ品種でした。そこで製造元の愛媛青果連(えひめ飲料の前身)では、消費者に受け入れられる柔らかな酸味を実現するための減酸(酸味をやわらげる)処理の開発を進め、1982年これに成功します。ポンジュースは、酸味の強い温州みかんを使ってもさらに飲みやすいものとなりました。

そんな国産温州みかん100%だったポンジュースの味が大きく変化したのは、それまでの温州みかんに加えて、外国産のオレンジ果汁も使われるようになってからです。

嗜好の変化に合わせ、温州みかんにはないオレンジの濃厚な味わいをポンジュースに取り入れ、広い世代に受け入れられる爽やかな甘味へと変化したのです。

ですが1997年になると、その減酸処理が中止されました。栽培技術の向上により原料となる温州みかん自体の甘味が増し、やさしい酸味に変化したことも主な理由の1つです。農作物の栽培技術は、農作物そのものの味だけではなく、飲料の製造技術にも関係するのです。

愛媛産にこだわった高級シリーズが登場

広く親しまれてきた果汁100%のポンジュースとは別に、愛媛産の柑橘類にこだわったさまざまな商品も登場しています。愛媛産で、加熱濃縮しないストレート100%をコンセプトにした5種類のジュースはその好例です。

・ みかん(温州みかん)

・ ぽんかん

・ ひめぽん

・ きよみ

・ 河内晩柑

ひめぽんやきよみ、河内晩柑は、地元愛媛でも高級柑橘に位置づけられる品種です。

この他、希少な柑橘のきよみ果汁を使った「POMえひめ逸品柑橘 愛媛きよみサイダー」や、河内晩柑を使った「POMえひめ逸品柑橘 愛媛河内晩柑ゼリー」など、温州みかん以外の柑橘類にスポットを当てた新しい味づくりにも取り組んでいます。

時代に合わせた進化を経て48

ポンジュースは、常に時代の好みに合わせた味を追い続けることで広く愛されてきました。「愛媛の温州みかんだけで作られていると思っていたのに……」と感じている人もいるかもしれません。

しかし、消費者が求める味や温州みかんの生産量の変化に対応するための努力の結果、果汁100%の発売から50年近くを経て愛媛の代名詞にまでなりました。進化する味わいと変わらない真心で、これからもおいしいジュースを世に送り出してくれることに期待しましょう。

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