経済
2019/04/24

トイレで分かる暮らしの変化。福岡・TOTOのイノベーション

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
2017年に創立100周年を迎えたTOTO株式会社は、私たちの生活に欠かせないトイレメーカーとして多くの人の暮らしに寄り添ってきた会社です。生活が快適になる機能を備えたトイレを次々と世に送り出す同社の歴史をたどってみれば、近代の日本人の暮らしの変化が見えてきます。

1917年ロシア革命の年に「東洋陶器株式会社」誕生

1917(大正6)年にロシア帝国では革命が2度起こり、後に世界初の社会主義国家・ソビエト連邦が誕生します。この年に福岡で設立されたのが、TOTOの前身となる「東洋陶器株式会社」です。

現在でも、人々が清潔な暮らしを送るために必要不可欠である便器を販売している同社が、設立時に掲げた理念は「健康で文化的な生活を提供する」というものでした。創立者である大倉和親氏のこの思いが、創立100年を越えた今もなお受け継がれていることは、消費者の立場から見てもよく分かります。

江戸から明治、明治から大正と、生活様式が欧米に近づいていく中で、大倉氏は「トイレや浴室で使う衛生陶器は、日本でも必要不可欠なものになる」と確信し、会社創立以前の1912年から衛生陶器の開発に着手していました。当時、衛生陶器は輸入に頼っており、国産のメーカーはありませんでした。

民主主義の流れが加速し、人々が自由を求め始めた大正時代。庶民の娯楽も増え、飲食業も栄えました。洋風建築に合う衛生陶器の国産化が進められたのは、大正末から昭和初期の、人々の生活が豊かになり始めたころでした。

商標をTOTOへ。激動の1970年代

戦後復興と合わせてさらなる発展を目指す東洋陶器は、1969年に新たな商標として「TOTO」の使用を開始します。翌年には社名も「東陶機器株式会社」に変え、陶器メーカーではなく住宅設備機器のメーカーへと方向を転換して新たな道を歩み始めたのです。

1960年代には、すでに従業員3,000名を超える大企業となっており、高度経済成長の波に乗ってさらなる飛躍を遂げていきます。

1969年は、TOTOが温水洗浄機能付き便器を発売した年でもありました。1970年代になると、世の中では節水の意識が高まっていきます。工業用水と生活用水の急増による水不足が深刻化したためです。このころ、水洗トイレで使う水の量は1回につき16リットル(2019年現在は4.8リットルが主流)で、節水トイレの開発も急がれていました。

日本経済は上向きで人々の生活も豊かになり、日々の生活にも利便性が求められるようになる中で、新しい家電品や住宅設備が次々と開発され始めました。象印マホービンの電子炊飯ジャー、カシオ計算機の小さな電卓カシオミニ、NECのパソコンPC-8001も1970年代に発売されています。TOTOでは、戸建住宅用の浴室ユニットを発売しています。

衛生的な暮らしが当たり前になると、トイレにも、より利便性と機能性が求められるようになっていきました。

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