経済
2019/02/15

五島で加速する地域創成のキーワードはツバキ・日本語学校・地域通貨

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
2018年6月、長崎県五島列島にある潜伏キリシタン遺跡が「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」としてユネスコの世界遺産に登録され、話題を呼びました。長崎市から約100キロ、県西端に位置する五島は11の有人島と52の無人島で構成され、のどかな自然に恵まれています。

五島は、映画や漫画の舞台になったり移住者が増え続けたりと、今注目を集めている島です。しかも地域創成への取り組みにも積極的で、さまざまな対策を打ち出しています。ここでは五島の魅力をお伝えするとともに、地域創成の具体的なアプローチをご紹介します。

世界遺産の島・五島の魅力

五島は、古代から大陸との交流拠点でした。遣唐使や倭寇に関する歴史的な遺産をはじめ、2018年にユネスコの世界文化遺産となった4つの潜伏キリシタン関連の集落や多数の教会があります。奈留島の江上集落にある江上天主堂は、潮風にさらされる島の気候に合わせて、湿度や風通しに工夫を加えた木造教会という、五島ならではの建築方法が見て取れます。

また、五島初のロマネスク様式を用いた1895年建造の井持浦教会は、赤レンガの外壁が特徴的で、日本で初めて「聖母伝説」にもとづくルルドの泉が作られたことでも知られています。このほか、九州本土で最後に夕日が沈むという大瀬崎灯台は東シナ海の荒波が削る断崖絶壁に立っており、海の青さと白亜の灯台というフォトジェニックなスポットです。人気の島グルメには五島うどんや五島牛、新鮮な海の幸などを使った郷土料理もあります。

地域資源・ツバキを活かしたマーケティング

五島には、900万本のツバキが自生する日本一の自生ツバキ林があります。しかし、近年は過疎化や高齢化によってツバキ林が荒れ、ツバキの実を収穫する人員の不足もあって、十分に活用することができませんでした。そこで五島市は、ツバキ油や工芸品などの商品開発を目指して自生ツバキ林を整備したり、耕作放棄地にツバキの苗を植えたりと、地道な活動を続けてきました。

そのかいあって、五島椿まつりの開催やツバキをモチーフにしたスイーツを提供するカフェの出店など、ツバキのブランドイメージが確実に向上しています。

2018年11月には、トレーニング機器を始めとする健康・美容機器メーカーのMTGが、「五島の椿株式会社」を設立しました。社長が五島出身という縁から、地元雇用の促進や地域活性化を目的に、産学官が連携したプロジェクトもスタートしています。

ツバキの商品生産時期は、年に一度の花や種が収穫できるタイミングに限られていました。そこで新会社では、葉や枝、果皮を活用した商品や地元商工会が発見した「五島つばき酵母」を使うことで、年間を通して製品開発が行えるような事業体制の構築を目指しています。

2020年には国際ツバキ会議と全国椿サミットが五島市で開催予定であり、日本一の自生ツバキ林を活用した地域活性のアプローチがさらに進展すると予想されます。

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