経済
2019/01/31

全国トップクラスの優遇制度!山口が注力する企業誘致策とは?

宇部工場(写真=PIXTA)
宇部工場(写真=PIXTA)
本州の出入口にあたる山口は観光立県として全国的に知名度が高い一方、石炭やセメント、化学肥料など重化学の工業地帯としても知られています。特に、瀬戸内海沿岸には石油や化学関連のコンビナートや自動車工場が立ち並び、県経済の根幹を担っており、日本有数の工業生産を誇ります。

近年、山口は企業誘致に力を入れており、優遇制度などの充実化を図っています。本州や九州をはじめ東アジアを取り込む地理的なメリットを活かした山口の経済政策について紹介します。

歴史的に工業生産の盛んな山口

江戸時代、現在の山口県にあたる長州と周防の2国を治めた毛利氏は、藩の収入の安定を目指し、農具を改良したり、塩田を作ったりするなど殖産政策に力を入れました。特に藩の財政にとって重要であった米、塩、紙、ろうの生産を奨励しました。それぞれ白色をしていることから「防長の四白」と呼ばれ、当時貴重だった塩は北海道を含む東日本にまで販路を拡大するなど全国に流通していました。また、幕末に大砲や帆船建造のため整備された萩反射炉(はぎはんしゃろ)や恵美須ヶ鼻造船所跡などは、現在ユネスコの世界遺産に登録されています。

明治から大正にかけて、藩政時代に作られた産業風土が、石炭、セメント、化学肥料、鉄鋼などの重化学工業の生産を発展させ、戦後に一大工業地帯を形成する下敷きとなりました。現在、化学工業の分野で、山口の製造品出荷額は千葉や神奈川、大阪などに次いで上位に位置し続けています。

山口は近年、秋吉台、錦帯橋、角島大橋など多くの観光スポットや、フグや高級日本酒の獺祭(だっさい)などグルメの方面で注目を集め、観光立県としてのイメージが定着しています。しかし一方で、上述したように山口はかねてより日本有数の工業地帯を持ち、日本から世界へ輸出品を提供する工業生産の基幹エリアでもあるのです。

トップクラスを誇る優遇制度で企業誘致を推進

そんな日本有数の工業県である山口は、現在県を挙げて熱心に企業誘致政策を推進しています。補助金関連の優遇制度は全国トップクラスで、産業界から熱い視線が注がれています。

まず、産業団地の取得補助金制度について見ていきましょう。山口でも有数の工業都市である山陽小野田市と宇部市の産業団地に進出する企業を対象としたもので、県と市から合わせて用地取得額の80%の補助が受けられます。注目すべきは、土地取得から3年以内の操業開始や固定資産投資額3億円以上(中小企業は5,000万円以上)を条件に、補助金の限度額に上限を設けていない点です。

山陽小野田市の小野田・楠企業団地は山陽自動車道や国道2号線とのアクセスの良い内陸型の産業団地で、製造業やガス業、運送業、情報処理サービス業などが対象です。一方、宇部市の宇部新都市は山口県産業技術センターを中心に整備された学術・研究開発の一大拠点です。テクノセンターとも呼ばれており、自然に囲まれた広大な都市は産業、学術、居住機能によって構成されています。

>>(次ページ)23件の企業誘致に成功している山口経済の今後に期待
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