経済
2018/11/09

ホップで地域創生 民話の里・遠野が目指すまちづくり

(写真=Master1305/Shutterstock.com)
(写真=Master1305/Shutterstock.com)
冬にはなぜか、夏によく合う軽めのビールとは異なる味わいの、クラフトビールが恋しくなります。国内最大級のホップの産地である岩手県遠野市では、大手ビールメーカーにホップを提供する一方、クラフトビールの醸造や養豚用飼料としての活用などを通して、ホップを主軸にしたまちづくりを目指しています。遠野とホップのつながりをご紹介します。

盛況の遠野ホップ収穫祭

2018年8月25日から26日にかけ、遠野市にある蔵の道ひろばにおいて、「遠野ホップ収穫祭2018」が盛大に開催されました。2018年で第4回を迎えたこのイベントは、ビールの里・遠野をキャッチフレーズに、ここでしか味わえないビールを提供しています。スペインでビールのおつまみの定番となっているピーマンに似た野菜、パドロンを調理したものや、遠野ビアフライトソーセージといったご当地グルメ、イベントに合わせて醸造された地ビールなど、ホップ収穫祭限定メニューも味わえます。

また、普段なかなか目にすることができないホップ畑の見学バスツアーが企画されるなど、子どもから大人まで楽しめる内容になっているのがホップ収穫祭の特徴です。

このように、遠野では大々的なホップ収穫祭が開催され人気を集めています。しかし、同イベントがここまで成長するには、いくつもの課題を乗り越える必要がありました。

全国トップのホップ生産地がなくなる!?

岩手県は国産ホップ生産第1位で、特に遠野は、約25ヘクタールのホップ畑を持ち、1963年の契約栽培開始以来、キリンビールの一番搾りに使われていることで知られています。しかし、1989年に538戸あった岩手のホップ農家は2017年には64戸まで減少。生産が盛んな遠野でさえ2017年には、34戸にまで落ち込んでいました。これは最盛期に比べると7分の1程度の農家数です。

ホップ農家減少の背景には、高齢化によって高所作業をともなう重労働が難しくなってしまったこと、収穫期の人手不足などがあります。遠野ではキリンビールにホップを買い取りしてもらうことで、安定した栽培を続けてきましたが、農家数の減少によって地域の特産物が危機的状況に瀕していました。

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