経済
2018/10/05

サテライトオフィスが続々開設!徳島が手がける移住戦略とは

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
徳島では神山町を皮切りに、企業の本拠から離れたところに置く「サテライトオフィス」が続々と開設しています。それに合わせて、県内への移住者も着々と増加しています。県や自治体、地域団体が近年推し進めてきた企業誘致と移住戦略は、一定以上の成果を収めているといえるでしょう。

サテライトオフィスを開設している企業の多くは、フィンテックやデザイン、映像制作関連、ドローン活用など、新しくてクリエイティブな事業に取り組んでいます。徳島はこのような新しい風をどう取り入れたのでしょうか。県や自治体が行う企業誘致とその戦略について紹介します。

毎年新規開設されているサテライトオフィス

2010年、神山町にサテライトオフィスを開設して話題となったSansan株式会社に端を発し、県内の多くの企業がサテライトオフィスを開設しました。2012年までに7つのサテライトオフィスが開設し、その後、毎年新規オフィスが設置されて、2012年から2017年の間に設置されたサテライトオフィスは56にも上ります。

サテライトオフィスが地域に及ぼす影響・効果は年々増大し、人口の増加に加えて雇用創出の流れも生まれています。急激な過疎化が進む徳島において、移住者の増加、地域のブランド化、Uターン転職の促進など、今後もその効果の継続が期待されます。

徳島の中でもサテライトオフィスが集中しているのは神山町、美波町、にし阿波地区の3地区。神山町はプロモーション戦略が功を奏し、多くのメディアが取り上げたことから話題となり、知名度を上げていきました。その一方で、美波町やにし阿波地区でも地道な取り組みを行っていたようです。

各地で奮闘!サテライトオフィス誘致の戦略

神山町、美波町、にし阿波地区の、サテライトオフィス誘致が成功している3地区に共通しているのは、全国屈指のブロードバンド環境が整っていたことや県のサポートがしっかりしていたことだけではありません。地域ごとに、サテライトオフィスを開設する企業の業種には、共通点とともにそれぞれの特徴が見られるのです。これは各地域での戦略が異なったことが背景にあると考えられます。

●3地区に共通したもの

徳島では、県内の全域にブロードバンドが整備されており、どこにいても高速回線を利用できるというメリットがありました。サテライトオフィス誘致の成功モデルといわれる神山町で最初にオフィスを開設したSansanや、美波町にオフィスを開設したサイファー・テック株式会社は高速回線の存在がオフィス開設の1つの理由であったといいます。

県による補助金やプロモーション支援も、誘致を後押ししています。クリエイティブ事業またはSOHO事業を営んでいる事業者が県内過疎地域に常駐し、5年以上継続して事業を行うことで、事業所の賃料を2分の1、通信回線使用料を2分の1として、さらに、新規に地元雇用者を増やすと1人あたり30万円の補助を行う「ふるさとクリエイティブ・SOHO事業者誘致事業補助金」などを始め、手厚い補助が用意されています。

●神山町の特徴

企業誘致の先陣を切った神山町では、NPO法人グリーンバレーが中心となって活動を行ってきました。グリーンバレーの活動は、もともとサテライトオフィス誘致が目的ではなく、過疎でも継続できる地域づくりを目指しているのが特徴です。そのため、神山町ではオフィスだけでなく、移住者による飲食店開設やその他の事業展開も活発です。

移住を促進させる制度として着目すべきは、職業訓練を行う「神山塾」の存在です。神山塾で訓練を行った人の大半が県外出身者で、訓練を終えた後、そのまま神山町に居住する人も少なくありません。これは雇用の受け入れ先としてサテライトオフィスが重要な役割を担っているからです。企業誘致と移住促進の両方がうまく機能した例といえるでしょう。

●美波町の特徴

美波町では、2012年にサイファー・テック株式会社が、この地区で最初にサテライトオフィスを開設しました。その翌年には本社を東京から美波町に移し、さらに地域起こし事業を行う株式会社あわえを設立。あわえの取り組みや同社社長の人脈によって、2018年2月時点で17社がサテライトオフィスを同地区に開設しています。

あわえは町と連携し、誘致の企画や行政のワンストップサービスを提供するなど新規サテライトオフィス開設に深く関わっています。そして、美波町にはWEB関連企業やデザイン系の企業が多いのが特徴です。

●にし阿波地区の特徴

上記2地区に少し遅れをとりながらも誘致を進めてきたにし阿波地区。2016年までは伸び悩んだ誘致数も、総務省が行う「お試しサテライトオフィスプロジェクト」により2017年から新規オフィス設置数が急増しました。

この地区では神山町や美波町と異なり、団体・企業ではなく国や自治体が中心となって誘致を進めているのが特徴です。また、誘致する企業も地元企業と競合せず、撤退するリスクが少ない企業になるよう選定しています。他の地区よりもオフィス開設のハードルは高くなりますが、自治体にとっては長期的に好影響が現れるような戦略が取られているといえるでしょう。

>>(次ページ)徳島に続け!企業にとって魅力的なまちづくりを
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