経済
2018/07/04

全国で増え続ける「道の駅」と地域振興の実情

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
地元の産直市だった施設が改めて「道の駅」に登録し、再スタートするケースが全国で増えています。元々は道路利用者のための休憩所や地域の連携などが目的だった道の駅。しかし現在、地元の生産者と消費者をつなぎ、地域経済に大きな潤いをもたらすなど、これまでと違った道の駅の活用が模索されています。なぜ道の駅は増え続けるのでしょうか。地域にとってのメリットについて、全国の事例をいくつか紹介しながらまとめます。

道の駅誕生から25年

1990年に山口の社会実験から始まった道の駅。建設省(現国土交通省)が1993年4月に登録制度をスタートし、現在1,145の登録施設が全国に存在しています(2018年5月23日現在)。ドライブインが持っていた休憩や食事の機能に加えて、地元の生産物を販売する経済活動の場、さらに町おこしの情報発信や地域連携の拠点として、特に山間地域では地域の大切な交流の場となっています。

バラエティ豊かな施設が増えている道の駅ですが、登録するには次の要件を満たしている必要があります。

・ 24時間利用でき20台以上駐車可能な駐車場があること。
・ トイレを10個以上設置していること。
・ 休憩施設があること。

こうした登録要件をクリアした道の駅は、今後も増え続けると予測されています。

道の駅の明暗を分けるもの

過疎の町、交通の不便な地域にとって、車利用者と地元住民の接点となる道の駅により、地域が賑わいを取り戻す成功例も少なくありません。

一方、道の駅周辺の過疎化や高齢化により出荷者が減少したり、高速道路が整備されて交通量が減ることで、売上が減少するなど、今後の課題も浮き彫りになってきました。また、道の駅を設置しても経営が軌道に乗らず、指定管理者の導入をもってしても運営が厳しいケースも出ています。

ただし、注目したいのは、立地によるアクセスの良し悪しが必ずしも道の駅の集客や売上を左右するとは限らないというところ。熊本県葦北郡芦北町にある「芦北うたせ直売食堂『えび庵』」では狭い海沿いの道を約3キロ走らなければ到着しないという、不便なアクセスにも関わらず「天然エビ」のみをアピールした特徴的な販売手法で注目を浴び、賑わっています。

地域住民の特性を平等に取り上げるのではなく、集客のため全国的に珍しい特産物一つに特化したことが、結果的に成功を収めた事例です。

道の駅として生き残りを図る直売所

愛媛県伊予市中山町にある「クラフトの里」は、旧中山町時代から人気の地域交流施設です。地元農家の直売所やそば打ち施設、人気のパン屋などに休日には多くの観光客が訪れていました。しかし、付近に高速道路が開通し、最寄りのインターから離れた中山地域の利便性は低く、客足が遠のく一方でした。

そこで伊予市では2018年7月に、既存施設を道の駅に登録するための改修工事を行います。付近に高速道路のスマートICの設置が決まったことを受け、観光客の誘致に向け、中山地域の新たな窓口として道の駅にリニューアルするべきだと考えたためです。

これまで道の駅のなかった中山地域。以前より活躍してきた直売所と地域交流施設を兼ねた設備の機能をさらに拡充し、全国的な認知度が期待できる道の駅とすることで集客を強化、地域内の観光施設や宿泊施設とのネットワークを太くする狙いもあります。

>>(次ページ)2020年に向けての道の駅の課題
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