経済
2018/04/12

秋田県能代市にあった知られざる宇宙への扉「能代ロケット実験場」

(写真=3Dsculptor/Shutterstock.com)
(写真=3Dsculptor/Shutterstock.com)
日本の宇宙開発事業といえば、ロケットの打ち上げを行う種子島宇宙センターや内之浦宇宙空間観測所に代表される鹿児島県が全国的に有名です。

しかしながら、意外なことにロケットの打ち上げが成功するか否かの鍵は、秋田県能代市にあります。今回は、宇宙開発に欠かすことのできないロケット実験場である「能代ロケット実験場」の知られざる秘密について紹介します。
 

日本の宇宙開発に貢献する国内唯一のロケット実験場


能代市浅内浜にある「能代ロケット実験場」は、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の付属研究機関です。この実験場は、宇宙空間における科学観測を目的とした観測ロケットや、科学衛星および探査機の打ち上げ用のM(ミュー)ロケットに利用される固体ロケットモータの地上燃焼試験を行うため、1962年に開設されました。

開設に先だって当時の能代市を視察した旧宇宙科学研究所の秋葉鐐二郎元所長によると、浅内浜は、地上燃焼実験に十分な広さ(最大1kmの保安距離)を確保できるうえ、町工場が多い市街地からも近く、急きょ実験で必要になったものを調達できるので実験場の立地としてはとても魅力的に映ったそう。

ちなみに、固体ロケットモータとは、固体燃料と酸化剤を燃焼して推進力を得るロケットエンジンのことです。固体燃料ロケットは、液体燃料ロケットに比べて構造が簡単なので取り扱いが容易というメリットがあります。とりわけ、ここ能代ロケット実験場の技術が活用された日本のM-V(ミュー・ファイブ)ロケットは、あらゆる点で固体燃料ロケットの世界最高水準にあると評価されており、2010年に話題となった小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げにも利用されています。
 

世界中が注目する能代ロケット実験場の動向


現在、能代ロケット実験場では、次期固体ロケット「イプシロンロケット」の技術要素試験や液体水素を燃料とするエアーターボラムジェットエンジンの燃焼実験など、さまざまな野外実験も行われています。2018年1月18日には、商業衛星(NECの地球観測衛星「アスナロ2」)を国内で初めて搭載したイプシロンロケット3号機が内之浦宇宙空間観測所からの打ち上げに成功するなど、同実験場は数々の成果に貢献しています。

能代ロケット実験場では、2018年4月以降も地上燃焼試験を実施します。この試験は、2019年度に予定している再使用ロケットの垂直離着陸飛行実験の第一歩として行われます。再使用ロケットの垂直離着陸技術が実用化されると、宇宙ベンチャー・米スペースXの試算では、宇宙輸送のコストが最大30%カットできるとされています。そのため宇宙開発に携わる世界中の研究者・技術者が、秋田県の能代ロケット実験場に注目しているのです。

>>(次ページ)教育県・秋田が秘めた唯一無二のポテンシャル
1 2
Page 1 of 2
PREV 名瀑・奇瀑もよりどりみどり「日本一の滝王国・山形」
NEXT 「田舎モダン」ブランディングが大成功!神奈川県開成町の魅力

関連記事