経済
2018/01/24

岐阜の仮想通貨「さるぼぼコイン」浸透率が上昇中!

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
飛騨信用組合と株式会社アイリッジが、ブロックチェーン技術を用いた電子地域通貨「さるぼぼコイン」を2017年12月より運用開始しました。

飛騨信用組合は、これまでにも地域に特化したクラウドファンディングを行うなど、その先進的な取り組みが注目を集めていましたが、さらに一歩踏み込んだ地域限定サービスの展開に踏み切ったのです。

現在高山市、飛騨市、白川村の3地区のみで利用できる電子地域通貨さるぼぼコインは、なぜ生まれたのでしょうか。各業界から注目されるさるぼぼコインについて紹介します。
 

新しい取り組みを積極的に行う「飛騨信用組合」


信金、信組、地銀といった地域密着型金融機関の多くは、長引くマイナス金利政策の影響を大きく受けています。金融機関の収益の要といえる貸出金利息が減少し続け、経営が悪化している地方銀行もあり、近年他行と統合され消えて行く銀行も多々あります。

しかし地域振興において、地域密着型金融機関は大きな役割を担っています。そこで飛騨信用組合は、組合の経営安定と地域振興を図るため、「ブロックチェーン技術を用いた電子地域通貨」の実用化に向けた動きをIT企業の株式会社アイリッジと共に2016年11月より進めてきました。

さるぼぼコインは、話題の仮想通貨「ビットコイン」と同じ「ブロックチェーン技術」を利用することにより、低コストながら高セキュリティな決済システム導入を実現しています。利用者はスマートフォンにアプリをダウンロードし、銀行にてコインをチャージしておけば、さるぼぼコイン導入店においてキャッシュレスで決済が可能です。

導入店には特別なシステムや機器は必要なく、決済に利用する二次元コード(QRコード)が記載された紙を置いておくだけという手軽さもさるぼぼコインのメリットです。この取り組みは2017年5月よりブロックチェーンシステムの実証実験が開始され、同年12月より満を持して実用化されました。
 

電子地域通貨がもたらすもの


これまで、地域通貨の発行は全国の市町村で行われてきました。しかしいずれも閉鎖的で、主に地域住民が利用するものとして発行されています。その性質のせいか一時的な話題にはなるものの、生活に定着しにくいというデメリットがありました。

しかしこのさるぼぼコインは、地域住民のみならず、国内外から訪れる観光客の利用も視野に入れているのが特徴です。

さるぼぼコインが導入される3つの自治体は、近年観光客数を順調に伸ばしており、2016年の調べでは高山市が450万人、飛騨市が100万人、白川村が180万人、それぞれ前年比3~4%増となっています。

しかし、未だにクレジットカード決済の導入も進んでいない商店が多いのもこの地域の特徴です。理由として、クレジットカード決済は決済手数料が高額なこと、決済用の機器を導入するためのコストや手間が必要なことが挙げられます。

さるぼぼコインの導入は、こういった店側のリスクやコストを減らしつつ、観光客の決済ストレスも軽減させる効果が期待できます。キャッシュレス先進国である中国からの観光客や、ビットコイン決済の広がる欧米からの観光客に向けて、さるぼぼコインは飛騨高山地方において大きな観光アピールのポイントとなるでしょう。
 

電子地域通貨の課題とこれからの展望は


地域通貨を一時的な話題で終わらせないためには、通貨を浸透させ、利点を強めていく必要があります。現在さるぼぼコインを利用できる店舗は約100店舗ですが、2018年3月末を目処に500店舗まで増やす計画です。

さるぼぼコインの利用者は、飛騨信用組合で円をさるぼぼコインにすることによってポイントが付与され、常にお得に利用できる仕組みです。

さるぼぼコインで支払いを受けた加盟店側は、コインを同組合で円に換金できるほか、他加盟店での支払いに利用可能。仕入れなどにおける加盟店同士の支払いもスムーズに進めることができます。

さらにさるぼぼコインのアプリ内には、利用できる店舗のデータや地図、広告の掲載、GPSによる道案内機能も備わっています。これによりさるぼぼコイン加盟店は店舗へより多くの観光客を誘導することができるでしょう。

今後はクレジットカードとも連携し、より手軽にコインをアプリにチャージできる機能を実装予定です。アプリには指紋認証も取り入れており、電子通貨を安全に利用する工夫もなされています。

飛騨信用組合が先陣を切ったブロックチェーンによる電子地域通貨は、地方経済の新たな道を切り開いていくことでしょう。
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