経済
2017/09/29

昆虫が魚の餌になる!漁業の未来を変えるベンチャーの挑戦

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

2012年、愛媛大学から生まれたベンチャー「株式会社愛南リベラシオ」(井戸篤史社長)をご存じでしょうか。

日本の食卓に欠かせない魚が、人口増加や乱獲、海洋環境の悪化にともない激減していく中で、この先も水産資源を確保していくためには、新たな試みが必要です。日本では以前より海面養殖で水産資源を守ってきましたが、現在主流となっている養殖はいくつかの問題点を抱えています。

特に、マダイを中心とした海面養殖の年間生産量が6万4,000トンを超え、全国シェア7位を誇る愛媛では、県を支える水産業において海面養殖の安定化は重要な課題です。このような背景から、同社はイエバエを海面養殖の飼料にするという大胆な研究に乗り出しました。この革新的な挑戦の内容に迫ります。

昆虫と糞が水産資源を守る鍵となる

これまで養殖魚の餌の主流となっていた魚粉が近年高騰し、養殖を生業としている漁師は苦しい経営を余儀なくされています。

水産資源の確保については、これからの日本の食を考えたときに重要な位置にあります。その中でも海面養殖は、一年を通して品質・価格ともに安定した商品を消費者に届けられることから、今後さらに需要を伸ばしていくでしょう。

そこで愛媛大学と株式会社愛南リベラシオは、高騰する魚粉の代替飼料としてイエバエのサナギを原料とする「昆虫飼料『フライミール』」を生み出しました。以前から問題となっていた「畜糞の処理法」として、イエバエの力を借りたズーコンポストが研究されていますが、産まれたイエバエの消費先がありませんでした。

しかし同社の研究によって、河川や海を汚染すると敬遠されていた畜糞をイエバエが分解、残された糞は有機肥料となり、産まれたイエバエは養殖魚の飼料となるという、新たな循環が生み出されたのです。さらにこれまで、養殖魚の餌となる魚粉は「魚から作られている」という矛盾点がありました。高級魚を生産するために安価な魚を犠牲にしていては、水産資源を守ることはできません。

今後この昆虫飼料の普及によって、愛媛の海面養殖業、ひいては日本の水産業を取り巻くいくつもの問題が解消されていくことでしょう。

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