経済
2019/06/06

大人気ボーカロイド生誕の企業は、札幌が誇る「音の総合商社」

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)
パソコンのソフトウェアで歌手を作ることができる、バーチャル・シンガーソフト「ボーカロイド」は、楽曲制作の形を大きく変えました。人気キャラクターの初音ミクが誕生した2007年から10年以上経った今もなお、多くの人に愛されているソフトウェアです。

この初音ミクを世に送り出したクリプトン・フューチャー・メディア株式会社は、北海道札幌市に拠点を置く企業で、ソフトウェアの開発のみならず、クリエイターに向けたサウンドのダウンロード販売なども行っています。音に関するビジネスを展開してきた同社の軌跡と、ボカロキャラを使った取り組みをご紹介します。

初めは「音の商社」として輸入販売を行っていた

クリプトン・フューチャー・メディアの創業は1995年で、当初は、音楽制作に欠かせないサンプルパックやソフトウェア音源を輸入販売していました。サンプルパックとは、パソコンを使って音楽を作るDTM(デスクトップミュージック)で使用される、環境音や効果音が詰め込まれたパッケージのことをいいます。

サンプルパックやソフトウェアの輸入販売をリードしてきたこの会社は、ボーカロイドを開発・販売したことで、DTMを趣味とする人々の表現の幅を大きく広げることに成功しました。

ボーカロイドで一躍有名企業に

ボーカロイドは、広義の意味ではヤマハが開発した音声技術や、その技術を使った応用製品の総称を指します。またそこから派生したソフトウェア上で歌うボーカル・アンドロイドなどのキャラクターも含まれます。ボーカロイドは、専用のソフトウェアを使って音を打ち込むと自分で作曲したメロディーに合わせ、キャラクターが歌を吹き込んでくれる仕様で人気を集めました。ボーカロイドの声は、それぞれ声優の声を一音ずつ収録したもので、リアル感もあります。

クリプトン・フューチャー・メディアで開発し、現在販売しているボーカロイドは初音ミク、鏡音リン・レン、巡音ルカなど全部で5パターンです。中でも、最初に発売された初音ミクの人気は衰えることを知らず、2007年の発売から10年以上たった今もなお、多くのファンに愛されています。

地域密着ボーカロイドの誕生

初音ミクを生んだことで、全国にその名を知らしめたクリプトン・フューチャー・メディアは、その後も札幌から離れることなく事業を展開していきました。さらに、北海道を応援する初音ミクとして2010年に「雪ミク」を誕生させています。

雪ミクを多方面に展開して北海道を支える企業に

2010年に開催された第61回さっぽろ雪まつりがきっかけで誕生した雪ミクは、北海道を応援するキャラクターとして浸透していきました。誕生から毎年、さっぽろ雪まつりの開催時期に合わせて、北海道を応援するイベント「SNOW MIKU」を開催したり、北海道のさまざまな企業や地域とコラボレーションしてプロモーションを行ったりと、バーチャルな存在でありながら精力的に活動しています。

SNOW MIKUでは、初音ミクをはじめとするバーチャル・シンガーが出演するライブまで開催されています。ボーカロイドたちは、パソコンのソフトウェアという域を超えて、まるで実在するアイドルのように多くのファンを抱えているのです。

新千歳空港ターミナルビル4階には、雪ミクのショップ&ミュージアム「雪ミクスカイタウン」もあります。ミュージアムスペースでは、等身大の雪ミクや、イラスト・グッズなどが展示されています。北海道観光に訪れた際には、新千歳空港で雪ミクとのひと時を楽しんでみてはいかがでしょうか。

>>(次ページ)北海道と密接にかかわりあう雪ミク
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